BB戦士三国伝を買ったら脳汁が飛び散った話
昭和の終わりに産まれた僕は、狂ったようにBB戦士を作っていた。
特にこのナイトZをアホみたいに作り続けた記憶がある。
同じプラモなのに10体くらい買ってもらったんじゃないかな?
ありがたいことに僕の両親は二人ともオタクで、プラモを知育玩具にカテゴライズしていたので割と気軽に買い与えていたそうだ。
記憶している最も古いナイトZはラーメン屋の待ち時間に作ったやつ。
幼少期に何度か引越しをしているので、その店舗から時期を判断すると3歳か4歳頃のはずだ。
ラーメン屋でプラモを作る4歳児・・・
完全にジャンキー。気持ち悪すぎる。
ともあれ4歳、いやそれ以前からガンプラを常用していた中毒者が僕である。
そしてそのまま小学生になり、リアル頭身のガンプラにも手を出しはじめるが、
もちろんBB戦士も買い続けていた。
Gガンの時期は小学1、2年生だっただろうか。
この頃は友達と一緒にミニ四駆やポケモンにもドハマリしていたが、だからといってプラモを止めることはなかった。
その頃抱いていた「なんでみんなはガンプラ作らないんだろう」という疑問を思い出す。
そして中学に上がった頃に変化が訪れる。
思春期の到来。
ではなく。
マスターグレードとの出会いだ。
「何このパーツ数!!!?何この内部フレームのディテール!!?!?!?」
完成してしまえば緑色の外装に隠れて見えやしない内側のパーツがメカニカルな装飾でビッシリ。
衝撃だった。
MGザクⅡVer.2.0なんてモンが出ちゃった今思えば保持力も可動域もカスみたいな関節尽くしのションボリキットではあるが、当時の僕はもうとにかくヤラれちゃったのだ。
今まで作っていたガンプラが幼稚であると思い知らされた。
それからというもの、とにかくMGを買い続けた。
MGで商品化されていなかったり、チョロっと作りたいときHGを買ったりしたが、BB戦士を買う習慣はすっかり無くなってしまった。
それから高校、専門学校を経て、田町の会社に通うサラリーマンになった。
都会の電車に乗っているのはクソムシばかりだ。
クソで充満した京浜東北の車両からホームに降りようとしたとき、背中を思い切りど突かれた。
気のせい?押されただけ?
いやいや、グーでおもくそ突かれたら背中でも絶対に拳だって判別できるよ。
「・・・今の誰だゴラァァァ!!!!」
ゲーセンでヤンキーが守ってくれるほどの虚弱もやしだった自分の喉から発せられた怒号に僕が一番驚いた。
が、誰一人反応しない。
我関せず。皆つり革に絡まりながらケータイを凝視している。
呆れ果てた。
僕がワキガだったとか、シャカ漏れしてたとか、パワー系アレだったならまだわかるが。
まあとにかく、そういったもろもろで疲れていた僕は癒されたかった。
そのドクソ車両の次に来たクソ車両に乗り込み横浜のヨドバシへ向かった。
なんかぉもちゃ買ぉ。。。虐げられた自分へのぉ詫びだぉ。。。
んで見付けたのがBB戦士三国伝シリーズだ。
現在生産終了しているのかマケプレがえらいことになっているが、定価1,000円。
もう長いこと触れていなかったBB戦士と、三国志大戦で毎日のように顔を合わせていた呂布。
ノスタルジーとコンテンポラリーが混在したハイブリッドおもちゃに飛び付いた。
「ここ一年くらいプラモ自体作ってなかったなぁ」
「すっげー!足のパーツが2ブロックになってるから自由度がクッソ高い!天才かよ!」
なんて思いつつ錆び始めたニッパーを探し出し、いそいそと開封する。
透明でパリパリのビニール袋に包まれたランナー達。
数色のパーツ群を一枚にインジェクション成型されたAランナーだけでパキっちゃう。
さあさあと慣れたもんで、わかりやすいパーツは説明書を開く前に切り離しちゃうぜ~?
・・・?
切り離・・・せない・・・?
(※代役、馬超BDのパーツです)
は?なんじゃいこのパーツ?
ランナーと密着しすぎだろ。ニッパーの刃を入れる余白の部分が全く無いじゃないか。
はて?とランナーを弄くり回していると・・・
ぽろ
りんちょ
ほんげえええええええええええええ
ここで、多少なりともキチンとプラモを作ったことがある人はテンパっちゃうんです。
これはプラモあるあるやらかし系で、力任せに手でもぐ(あるいは接触した衝撃で勝手にもげちゃう)と繋ぎ目がねじ切れてゲチョゲチョになり非常に不細工になるのでやってはいけないのだ。
ひえ~久々で凡ミスやっちまった・・・
と、思ったが違和感。
切り跡がなかなかに綺麗。
こ、これはまさか!?
僕「オ、オッケーグーグル!!!」
iphone「ポーン!!!!」
どうもこれは「タッチゲート」という方式らしい。
ニッパーが無くても手だけで組み立てられるよ、と書かれていた。
ここで僕の脳みそはアハ体験。
脳汁がエメラルドスプラッシュ。
バンダイの企業努力に完敗して死んだ僕の意識はバイツァダストよろしく時間ごと吹っ飛び、今までニッパーでパチンしてきた時を見た。気がした。
なんということだろう、バンダイは、専門工具(ニッパー)が無くても、
安全で、綺麗に、ガンプラを、組み立てられるように・・・
改良したというのか・・・
ランナーを・・・金型を・・・
初めてガンプラを買ってもらった男の子を想像してみてほしい。
一般家庭にプラスチック用の小型ニッパーがあるだろうか?
はさみでも難しい。カッターは危険すぎる。
彼が見つけた妥協案は爪切りである。
爪切り。。。
僕も親戚の家でプラモを作るとき、ニッパーが無かったので仕方なく爪切りで代用したことがある。
クソ。
クソクソクソ。
クソ・オブ・ザ・クソ。
今まで世話になった恩を忘れてぶん投げる勢いでクソ使いにくいのだ。
指の丸みに合わせて作られた正しく機能的な刃の湾曲にぶちまける、理不尽な怒り。
どっこい悲しいことにこれもプラモあるあるで、初めてのプラモを爪切りで作って苦労したとか、挫折したって話を結構聞く。
「いや、慣れれば意外といけるよwwww」
うるせーよクソバカ。ニッパー買って来い。
ともかく、高揚した気持ちと自尊心をプラモと爪切りにへし折られる、
そんな悲しい未来をバンダイさんはぶち殺してくれたのだ。
すげーよ。
すげーよこれ。
偉大だよ。
だってさ、そんなことしなくたって・・・
売れるんだよ?
ガンプラの看板がありゃー(AGEじゃない限り)、
日本に子供が産まれる限り、売れるんだよ?
まあ心折られるはずだった子供がガンプラを買い続けてくれる未来に改変されれば利益に繋がるけど。
抱えていた問題点を、キッチリ解決してくれたんだよ。
ぶっちゃけ昔のガンプラ、いやBB戦士を作ってた人じゃないとピンとこない話だとは思う。
それでもとにかくあの日俺は、バンダイの努力とクソムシ共のクソさとのギャップに泣いたんだよ。
だから、その昔BB戦士に夢中になったオッサン達はぜひもう一度BB戦士に触れてみて、この進歩を味わってほしい。
あとはサザビーとか、ガンプラ以外でもケロロのプラモなんかにタッチゲートを使ってるらしい。
最近出たSD商品はみんなそうなのかな?
BB戦士 No.382 MSN-04 サザビー (機動戦士ガンダム 逆襲のシャア)
- 出版社/メーカー: バンダイ
- 発売日: 2013/05/25
- メディア: おもちゃ&ホビー
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